「また明日ねー」
「うん、明日ー」
まだ暖かさの少し残るはずの都会は、
ビルのコンクリートの冷たさで冷え切っている。
そんな都会の端で屡雨は小さなため息をついた。
最近はもう慣れてきているが、
本当にこの地面の冷たさが身にしみるようになっていた。
唯一それを隠せるのが学校で、
屡雨は学校に行くのが好きだった。
「よぉーっし、明日もがんばろー!」
そうやって自分に言い聞かせるのも日課。
そうやって、耐えてきた。




「昨日のドラマ見たぁー?」
「見た見たー。ユウキちょおかっこよかったよねぇ」
みんなでお弁当を食べて、
みんなで昨日のドラマのことを語り合って、
そんな日常。そんな毎日。
どれだけ繰り返しただろう、この毎日を、
小学校から、高2まで、
同じことを何回話して、
私達は飽きるのだろう。
「ちょっとルウ?大丈夫?」
お弁当を片手に持ったルウは、我に返った。
「あ、ううん。何でも」
そうやって笑顔を作って答える。
千秋はお弁当を片付けながら言い放った。
「どうでもいいけど、もう昼食時間終わるよ」
「え」
ルウの小さな叫びが教室内に響いた。
―――――がたり、
お弁当箱が揺れた。
「、地震?」
―――――がたがた、
「おおきいね、」
―――――ドゴォォォォン
鈍い爆発音と誰かの悲鳴が学校に響いた。

「嘘…」
「誰が、こんなこと」
二人は絶句した。それは現代ではありえない。
悲惨な状態の校庭が目の前にあった。
「誰かいる!」
ルウは誰かが指を指した方を見た。
煙や瓦礫でよく見えない。
「る…」
千秋が言葉を失った。
「…、うそ」
ルウも言葉を失う。
だってそれは、

「…”私”…?」

そこに立っていた少女は、
”ルウ”という人間の形をしていた。
「ルウ!?」
「私じゃない!」
ルウの叫びに、その少女が振り向き、
「…っ」
ルウを捕らえた。
「…」
まるで、その目に時間を吸い込まれたかのように、
ルウの動きが止まった。
『…お前か…』
そう言っているかのように、処女の口元が動く。
そして体の向きをルウの方へ向けると、
ゆっくりと歩き出した。
「ルウ…ル…」
千秋の呼びかけも虚しく、
ルウの意識は遠のいていった。





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もう一人の私